SPで史上初の4アクセル成功!という偉業。
が、ジャッジは大混乱。
演技中の暫定技術点表示もずっとゼロになってましたもんね。
解説の町田さんも「そもそも多分4アクセルを跳ぶという想定でSPのルールが構成されていないと思うので、どうなるか・・・ルールの専門家の説明を待ちましょう」と言ってました。
確か、ジュニア女子ではアクセルはダブルという規定があるので、トリプルアクセル持ちの選手はコンビネーションを構成するジャンプでトリプルアクセルを使ってたはず。
町田さんも「4アクセルをコンビネーションにしなければいけなかったのか・・・どうなのか・・・?」とおっしゃってましたし。
どうなる?どう判定される?
・・・結果認められました。
SPの単独ジャンプに関する規定の中の
「トリプルアクセルをアクセルジャンプで行った場合、ソロジャンプで行うことはできない」
に抵触しない、つまりトリプルアクセルについての規定は明記されてるけど、4アクセルについては明記されてない(そもそも想定されてない)からOKという判断だったのでしょう。
仮にこの規定が「3回転半以上のアクセルをアクセルジャンプで行った場合、ソロジャンプで行うことはできない」とあれば、4アクセルの単独ジャンプは認められなかったと思います。
ま、それは良いんですけどね。
ちょっと気になった事が。
「みんな驚いたでしょ?」SPで史上初4回転アクセルに成功したマリニンが“大混乱”の舞台裏をポロリ「ジャッジとも何度か話し合ったが…」【GPファイナル】
https://news.yahoo.co.jp/articles/f97a48ac6a5a1a96553c0c285ea87493c4787822
この記事の中のココ↓
「トレーニングエリアのジャッジたちとも何度か話し合ったんだ。彼らは(4回転アクセルは)許可されるべきだと言ったんだ」と、一時混乱したジャッジの舞台裏を明かした。
ん???
どういう事?
試合前にジャッジが特定の選手との会話の中で、そういう発言をするってどうなの?
ジャッジはルールに則って判定を行う立場であって、そのジャッジが試合前に特定の選手に対して○○は許可されるべきという話をする事に違和感を覚えるのですが。
ルールを決めるのはISUのはず。
SPで4アクセルを単独ジャンプとして跳ぶ事がルール上問題あるかないか、という話をしたのなら分かる。
「ルール上どうか」というのではなく、許可されるべき、という「主張」をジャッジが試合前の特定の選手にするのっておかしくないですか?
さっきも言ったけど、ジャッジはルールに則って判定を下すのが仕事であって、○○されるべきという主観を持ち込むのではなく、ルールに則っているかどうかを常に基準に置くべき立場でしょ?
もし、ジャッジとの事前のこのやり取りによって、マリニンが「SPで4アクセルをソロジャンプで行うことは認められるはずだ」と考えたのだとしたら。
結果認められましたけど、もし認められなかったら。
認められない可能性もあったと思うんですよね。何しろルールブックにないわけだから。ダメとは書いてないけど、OKとも書かれていない。
今回は認められた。最終判断は誰がしたのか?その判断基準は?
もしかしたら、今回4アクセルが認められたのは、ルール上の根拠が明確にあったからではなく、現場のジャッジが許可されるべきという考えだったから、という事?これが他のジャッジたちだったら判定が変わっていた可能性があるという事?
よくわからない。
実際どうだったかはわかりませんが、いずれにしろ特定の選手に個別に「許可されるべき」と発言してしまうジャッジの姿勢自体に問題があると思うんですよね。
ジャッジと選手の間には、きちんとした一線が引かれるべきだと思います。
試合直前ならなおさら。
この記事だけでは詳細が分からないので断定的な事は言えませんが、記事を読む限りでは、今回の試合を担当するジャッジと出場選手が試合前に個別に話をして、4アクセルをSPで跳ぶ事が問題ないかどうか、「ルール」の確認をしたのではないように受け取れる。
試合前に選手とジャッジが個別に話をするなら、あくまでルールの確認であるべきでは?
そもそも、試合前にマリニンとの間でそういうやり取りがあったのなら、SPでマリニンが4アクセルを跳ぶ可能性を想定して、ジャッジたちは事前にISUに「SPでの4アクセルの位置付けについて」確認を取っておかなければいけなかったのでは?
マリニン演技後のあの混乱ぶりを見るに、事前の確認は取っていなかったものと思われる。
その姿勢の緩さに、ジャッジが日頃からいかにルールを軽んじてるか、0.01点たりとも取りこぼさないようにという選手の努力をいかに軽く見てるか、如実に現れてる気がする。
数年前にもありましたね。
テネル選手のコンビネーション、セカンドの3トゥル-プを2トゥル-プと間違えて得点を出した時。
アメリカスケ連からの抗議に間違いを認めはしたものの、順位に影響ないからという理由で得点訂正はしなかった。
いや、そういう事じゃないでしょ。
順位が変わらないからOKではない。そういう次元の話じゃない。
実際に、ほんのわずかの差で出場資格や順位が変わってしまうケ-スもあるし、それを抜きにしても選手にとっては0.01点まで大事な得点。その0.01点のために選手が日頃からどれだけの努力をしているのか、チ-ムスタッフがどれだけ戦略を練っているか。
そういう事をISUやジャッジが軽んじてる事自体が、その姿勢が問題なの。
そういういい加減さが意味不明なルール改正やおかしなジャッジの横行に繋がっているとファンは感じてるの。そこに不信感を持ってるの。
だから、羽生さんのような集客力のあるスタ-が抜けただけで客足が如実に落ちる、そんな情けない状況を招いているの。
いい加減理解しなさいよ、フィギュア界の偉い皆さん。
特定の選手をあからさまに持ち上げて無理矢理新たなスターを作り出そうとしたり、訳の分からない賞を新設したり。
やるべきはそこじゃないでしょ。
今回のマリニンの記事から、私が改めて感じた事は、ISUがジャッジを管理監督しきれてないんじゃないかという事。
ルールはISUが決めるけど、その具体的な運用については「ルールブックにハッキリ明記されてない部分は」それぞれの現場のジャッジの裁量で勝手に行われているのでは?という疑惑。それに対してISUがモノ申せない空気になってるのでは?という疑念。
例えば、数年前に出たシリアスエラーに関するガイドライン。転倒など、演技の流れが止まるようなミスがあった場合の演技構成点の中のコンポ-ネンツの上限を定めたもの。
あれは、本来ならガイドラインを示すまでもなく、ジャッジがちゃんとやらなければいけなかった所じゃないですかね。
特定の選手の演技構成点が高止まりし、大きなミスをしようがどんな低い技術点になろうが、特定の選手の演技構成点は他の選手のように下がる事なく高い点が出る。それっておかしいですよね?演技構成点は、その時の演技、プログラム全体の出来不出来が反映されるものでないとおかしい。どれだけミスをしようと、特定の選手には常に高い演技構成点が出るなら、試合ごとにジャッジする(フリをする)必要はない。最初から堂々とそれぞれの選手の持ち点という形でルールで定めておけばいい。
ジャッジがルールを無視しておかしな演技構成点を出すから、見かねたISUがガイドラインを新たに示さないといけなくなった。それでも、強制力のあるルールではなく、適用するかどうかはジャッジに委ねられたガイドラインでしかない。
適用するかしないかをジャッジに委ねた事によって、不公平を是正するためのシリアスエラーのガイドラインが更に不公平を助長する事になった、そういう側面もあったように思います。
具体例を言うと、世界選手権2021男子ショ-ト。冒頭の4ルッツで転倒し、フライングキャメルスピン中チェンジエッジをミスってヨレヨレになったネイサン・チェンに、なんとほぼ半数のジャッジがパフォーマンス9.5点を出した。9.75点を付けたジャッジまでいた。シリアスエラーを適用してないという事ですよね。あの演技を見てて、ミスはあったけど演技の流れは止まらなかったよね?と思ったフィギュアファンがどれだけいたか?
おそらくネイサンのファンでさえ思った人は皆無だったと思うよ。
でも、ジャッジは演技の流れは途切れなかった、シリアスエラーではないと判定した。でも、シリアスエラーはあくまでガイドラインだから、その判定は形式上不正ジャッジとはならない。我々ファンからは、どっからどう見てもおかしい判定だけど。
それに対して、ガイドラインを示したISUは何も言わない。
言わないじゃなく、言えないのか。
先日のNHK杯の「6戦あるシリ-ズの中で一試合だけ突出して厳しいジャッジ」も同様だったと思います。
本来なら、ファイナル進出がかかっている6戦は、できる限り同じ基準でジャッジされないと公平性が保たれない。
(NHK杯に限らず日本開催のフィギュアの大会では、何故かいつもジャッジが点を出し渋る傾向があるように感じるのですが、私の気のせいかしら)
来年以降、NHK杯出場を嫌がる選手が続出しない事を祈る。
今回、国内外を問わずフィギュア関係者の間では結構な議論を呼んだと思うのですが、当のテクニカルパネルはもとよりISUもダンマリでしたね。
で、何事もなかったようにファイナルではしれっと基準が元に戻った。
これらの事例を見ても、やっぱりISUはジャッジの監督が出来ていないのだと思います。
と言うか、力関係が逆。
ISUよりジャッジの方が力を持ってるのでは?
もっとハッキリ言うなら、各ジャッジが属してる各国スケ連の方がISUより力があって、ジャッジはそれぞれの国のスケ連の顔色だけを見てるのでは?
だから各国スケ連の思惑、各国スケ連の間の繋がりや力関係によって、大会(もっと言えば開催国)ごとにシナリオや方向性が決められ、それに沿ってジャッジが動き、得点操作、順位操作をしているのでは?
そういう勘ぐりをしたくもなるんですよ。
今回のマリニンの証言が事実そのままなら、やっぱりジャッジはISUを舐めてる、ひいては選手、ファン、そしてフィギュアスケートという競技を軽んじてるという事だと私は感じます。
今回、最終的な判断を下したのが誰なのか、ちゃんとした資格のある人がされたのだとは思いますが、その基準がもし「ルールブックに明記されてない事は、それぞれの現場で独自に解釈して判定して良いのだ」というものだったら、競技としてどうなのか?と、どうしてもそこが気になってしまいます。
ルールブックに明記されてない想定外の事例が出てきたら、ISUのしかるべきところ(ルールを作ってる理事会?)が一括して判断しなければ公平性は保たれない。
それぞれの大会によって、その大会の主催やジャッジの裁量で判断して良いものと、今回のようにしかるべき所が「どの大会かに関係なく」一括して判断すべきものと、しっかり分けて考えられているのか。そこが曖昧だったり、行き当たりばったり或いはご都合主義だったり、どこかへの忖度になってないのか。
(今回の事で言うならば、もしこれがアメリカのマリニン選手じゃなく、スケ連の力が特に無い国のそれほど実績のない選手だったら認められたのか)
が、そこを突っ込んで取材してくれるメディアはいない。
今回はどうだったんだろう?